短歌、笑ってしまうくらいできなかった。
動物園において短歌を詠むには動物たち自身や園側が発信してくるメッセージを一旦無視して自分のことばと接続する作業が必要になるのだが、久しぶりに規模の大きい動物園を訪れたことに加え初めての場所だったので、わたしの意識は目の前で繰り広げられている状況の解読作業に没頭してしまい、新釈を作り出すに至らなかった(盛岡市動物公園ZOOMOの一観客としては、ツキノワグマの姫とリオの関係性が見ていて楽しかったし、心は満たされたものの)。
わたしに詩の才はない。
それだのに、笹井宏之の歌集を薦めてくれた詩人の魂のかたちをいっとき愛してしまった(その詩人はうつくしい思い出だけを残したまま簡単に彼岸を越えてしまった)ばかりにわたしは短歌に執着し続けている。
一首だけ、苦しまぎれに詠んだうたを置く。