すげ〜〜良かった。戦後昭和の因習村を舞台にサスペンスとバディものの王道をやってて満足感がすごくある。アクションシーンも見応えあるし声優陣の安定感もとても良い。

人間の愚かさ罪深さを正面から書きつつ未来への希望も捨ててないバランス感が良かった。原作が水木しげるなだけあって戦争描写にリアリティがあって兵士の命を使い捨てながら自分は逃げ出す参謀、戦後の混乱で民衆が飢えて苦しむなかで自分たちだけ贅沢を楽しむ指導層、と搾取する側とされる側がいろんなレイヤーで描かれていて、舞台になる哭倉村の構造とリンクする描き方がうまいな〜と思った。それでいて愛する人や若い世代が生きていく未来を良くしたいという願いもきちんと描かれていて、それがラストの鬼太郎誕生につながるという改めて思い返して見事な構成。

きっかけとしてはキービジュと水木のキャラデザとcv木内秀信に惹かれて見に行ったんだけどま〜〜刺さった。性癖に。15年くらい前のDTB黒の契約者以来ずっと木内秀信のダメージボイスが大好きなオタクは大満足です。劇中で鼻血出して気絶して嘔吐して首絞められて吐血してまじもんの出血大サービスだった。

水木のキャラデザすごく好きだな。序盤は出世欲ギラギラのサラリーマンで他人のことを利用価値があるか否かでしか見てないんだけど、その背景に戦場や戦後の悲惨な経験があって力がなければ搾取されるという価値観があるのが説得力があった。意識的に利己的に振る舞ってはいるものの、ゲゲ郎に石を投げた子どもを叱って追いかけたり(あのコラ〜！可愛かったですね…)沙代の境遇を知って吐いてしまったり(ここも可愛かったね…)、もともとの真っ当な優しさや共感性が随所で垣間見えるのも良い。凶骨から守ってくれるちゃんちゃんこを岩子に譲ってるとこほんとに；；；

妖怪相手だと相手が悪いけどでかい村人を投げ飛ばしたり、狙撃が正確だったり人間相手だとかなり強いんだろうな〜！ってとこも良かったですね。強い受けが好きなので…。

時貞相手にあんたつまんないやつだな、つけは返さねえとな！って啖呵切るところかっこよかったしその後時貞が食われてるシーンで興味なさそ〜に折れた歯を捨ててるとこも好き。あのシーンで、それまでの権力志向な価値観と完全に決別したんだなって感じた。しかしあの後会社に戻った水木はどうなるんだろうな…EDでもスーツ着てたから引き続き務め人ではあるんだろうけど

水木と目玉のおやじで鬼太郎を育てるスピンオフほしい。ください。

ネタバレのようなネタバレでないような感想　アクションシーンの父のフィジカルが強すぎて父水の水木てぇへんなことになるぞ？！って思ってたら水木も分厚い紙束を素手で引き裂いててあっこの人なら大丈夫だわ…と安心しました

ゲゲ郎さん、めちゃめちゃ強いのに岩子さんお墨付きの泣き虫なの可愛いね…