これは私が死ぬとき棺に入れて欲しい本なんですが(重…)、実家にあるのに留学先でも読みたすぎて、古本屋で巡り合って即買ったのでボロボロになってる…
小説家やってる主人公が百日紅の木に恋されたり、河童の抜け殻を拾ったりする短編・架空エッセイ集なんだけど、メインストーリーのひとつに「湖にボートで漕ぎ出したきり行方不明になった友人が時々掛け軸から出てくる」というのがあって。
この世の幽玄なものまで全て言葉で表したい主人公を、彼岸へ渡った友人は「無粋なことだ」と評する。主人公が友人に対して「おまえは人の世を放擲したのだ。」って恨み言を言えば、友人は「おまえは人の世の行く末を信じられるのか。」って質問で返す、それだけのシーンがずっと忘れられない。
初読のときは未成年で(人の世、まあまあ放擲したくない…?)と友人側にばかり肩入れしてたんだけど、先だって読み返したらあらゆる未知を言葉にして理解したい主人公に感情移入できてしまってびっくりした。
読み返してもやっぱり棺に入れて欲しかった(重…)。日記です。