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作りすぎ7ちゃん 

「いんげんのサヤ取りとか、梅干しのヘタ取りとか、エビの背わた取りとかなんかこう無心でやる下処理ってあるじゃない」
「したことはないけど、あるらしいことはまあ、一応知ってる」
「そんな感じで今回やりすぎた下処理の産物がこちらです」
エプロンをつけて、仕切りがないキッチンからボウルの中身を僕に見せてくるヘルは、ひと仕事終えた顔をしていた。
見せられたボウルの中には大量のささみ肉。
「……買いすぎたの?」
「大容量で特売だったのよね。ついいっぱい買っちゃった」
「計画性って言葉知ってる?」
「知ってるわよ!あんたが予定つかなきゃ筋取りする前に冷凍するつもりだったもん!」
つまり僕が来たからこそいけるだろうとおもってのこの量らしい。
「貰い物の梅干しと大葉があるから梅しそ巻にするつもりだけど食べられる?」
「梅も大葉も平気だけどその組み合わせは食べた事ないな」
「美味しいわよ。半分はチーズもいれようかしら」
「未知の味がもっと未知になった」
「あんた今まで何食べて生きてきたのかって気になる時あるわね」
ヘルはそう言ってボウルを置いて冷蔵庫の方へと向かっていった。そうしてしばらくしてから出来上がった料理は今回も皿に山盛りで。けれど結局僕はこの時間が幸福で、彼女の作りすぎ癖を止める気が起きないのだ。

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