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あなたと週末を 

それのレシピを見かけたのはたまたまで、ふと脳内にとある人物が過ぎったのも不可抗力で。嫌いなものは無かったはずだし、オレンジが好きで、柑橘系もわりと好みっぽかったから。私も甘いものが食べたかったし。
色んな言い訳を重ねて材料を揃えて、オーブンと睨めっこしたのが昨日の話。該当人物と予定を合わせて部屋に呼んだのは今日の話。
表向きは勉強会みたいな感じで、お互いにノートにペンを走らせてしばらくして、おやつ時になった。じっと時計を見ていたのがバレたのか、テーブルの向かいに座る男に声をかけられる。
「休憩する?」
「うえっ!?」
「なんだか今日は落ち着かないみたいだから」
どうやら何度かチラチラと時間を気にしていたのはバレていたらしい。目敏いヤツめ。
「……おやつ、準備するからちょっと片付けといて」
自分の勉強道具をささっとどかして、それから準備していたものを取りに行く。ついでに飲み物に紅茶の準備。それから一応、断りを入れておく。
「……私が作ったやつだけど」
おそらく不味くはないはずと言ったが、聞こえたのは嬉しそうな声。
「君の手作りか、楽しみだ」
なんのお菓子かな?と聞かれたので、名前を告げる。
「ウィークエンドシトロン」
今日一緒に過ごす口実に作った事までは、さすがに言えそうにない。

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