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好きなのは君の全部 

「あんたって胸派?お尻派?太腿派?」
稀にある騎士団とハーレ職員のかち合いからの飲み会で、またしても昔の僕と張り合って地獄酒にチャレンジして酔っ払ったために寮へと送り届けている最中、そんなことを聞かれた。
「どうしたの急に」
「騎士団の人たちが話してた。女性のどこが好きかって。あんたは?」
飲みの場ではよくある話題だがよりにもよって彼女に聞かれるとは。酔っ払い共め、と思ってしまうのは仕方ない。
「そんなこと聞いてどうするの」
「どうって……どうしよう」
「分からないのに聞いたの?」
「だって私貧相だし、癒しになるような体付きしてないし……あんたが胸派だったらどうしようもない……」
どうやら言いながら落ち込んでいるらしい。体勢が前のめりになっていくのをぐっと抱えて押さえ込む。細いのに柔らかい体だ。力を入れすぎたら折れてしまいそうな。
「酔っ払ってる君に言っても覚えてるか怪しいと思うんだけど」
「……あやしくないし」
「じゃあ覚えてたら次会った時に確認しよう」
「覚えてなかったら?」
「聞かれたことと僕の答え、時間をかけてゆっくり教えてあげる」
「……じゃあ勝負?」
「そうだね、勝負だ」
私が勝つもんと意気込む彼女には悪いが、どちらに転んでも教え込むつもりでいる僕は、耳元に答えを囁いた。

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