久しぶりに『銀河鉄道の夜』を読む。昔読んだ時は哀しく美しい話だという印象を持ったくらいであったが、改めて読むと社会的弱者・少数者への精神的暴力の解像度が高いことに気がつく。
未完がゆえのわからなさはあるが、その不安定さがジョバンニの夢や年齢相応のゆらぎと希望を感じさせるようにも思えるし、作品自体が銀河鉄道のようにどこまでもどこまでも行くような気がする。
貧しくふだん同級生や仕事先で虐げられている彼が、汽車の中で他者に憐れみを感じ「ほんとうのさいわい」を考え始めるのは哲学でもあり宮沢賢治自身の背景を考えると非常に宗教的な話であった。
『新編 銀河鉄道の夜』 宮沢賢治 | 新潮社 https://www.shinchosha.co.jp/book/109205/