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推理小説の誕生はポーの『モルグ街の殺人』といわれるが、この作品はそれと同時期に書かれ、かのエラリー・クイーンが古典としてポーの作品と共に列挙しているものである。

わたしはミステリー小説に明るくないため推理小説的手法や表現の是非はわからないが、各章が関係者の手記や手紙であるためそれぞれにバイアスがあり、信頼できないかもしれない語り手たちのクセに注意を払ったり、自分の目星が外れ状況が複雑さを増してきたあたりで頭をひねり「いったいどうなるんだ?」とワクワクし楽しむことができた。

私が好きだった下記の登場人物をあなたもお好きであれば、心が満たされるであろうからぜひお勧めしたい。

ベタレッジ。パイプをふかしながら『ロビンソン・クルーソー』を読むことを幸せとしている老執事。70代。子供の頃より仕えている女主人や、自分の役目に誠実。ときどき「探偵熱」が出てしまうが、それを自分でも気にしている。

カッフ刑事部長、ロンドン警視庁捜査課。イギリス随一の刑事。白髪の痩せ細った男で、相手自身さえ知らないことまで見透かしそうな目をしている。バラに目がなく、バラ園の作りには一家言ある。

月長石 - ウィルキー・コリンズ/中村能三 訳|東京創元社 tsogen.co.jp/sp/isbn/978448810

 

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