久しぶりに『ゲド戦記 影との戦い』を読む4
読み終わった!要素がモリモリなので今の知識と私の文章力では表しきれん。
科学が拾わない物事が核にある世界の話なので、言葉による支配や、目に見えないが確かに存在し、それらは名前を持つ=どんなものでも存在するのであり、それと関わり合うことがあればそれには意味がある、という世界の捉え方。
精霊信仰や雰囲気的に錬金術的なものもあったりするんだけど、この世界の本当に世界を知る者は理を重視し、均衡を崩さないように努めている、というところに、科学信仰に関することが頭をかすめた
描き方は客観的で、ハイタカのモノローグはほぼなく、人との会話や関わりにより理屈をつけ自分自身の理解を積み重ね、どう自らを生きるかを決めていく成長物語。
目に見える強大な力には、知恵と賢さと言葉の力で打ち勝てるのに、自らの欲が生み出した影にはいつまでも怯え、それが何者かもさっぱりわからず、負けてしまうことばかりを考える。
自分のことはなかなかわからないのよなあ。わたしも数年前に自分が恐れる者の正体がわかったけど、成育環境により生み出した自らの影であった。
影にやられ心身が傷ついたときのゲドの描写って鬱症状のメタファーにも読める。表現ってすごい。