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岩本ナオ原作『金の国 水の国』映画感想(ネタバレない)

めちゃくちゃ良かったよ!! 丁寧につくられていたし、絵も音も大変良く(音ものすごく聞き取りやすかった)、キャストもピッタリで!!! 特に主人公2人とライララと、お姉様と左大臣が良かった。

一方で、原作では「んん……」となってしまって見なかったことにできるようなシーンも、美しい映像とピッタリの声と雰囲気と音とでお出しされてしまうので、やっぱダメだよなこれは、と再確認させられてしまうところはあった。
これは原作から苦手なところで、映画の罪ではないです。

岩本ナオ作品、主人公もモブも「美」の人もそうでない人も、みんな世界に対する居心地の悪さ……どこか取り残されたような異物であるような、1枚薄い幕を張られた外側に阻害されているような、そういう心地を知っているキャラが多く、しかし助けたり助けられたりしながら世界との付き合い方を知れていったり(いかなかったり)するのですが、今作もそうで、
その過程の描かれた方は誠実だったように思います。さらっと淡々として厳しくもやさしくて好き。
原作もぜひ。

amzn.to/3jp0en3

『金の国 水の国』ネタバレる感想 

「ふたりの愛が国を救う」みたいな物語、風なんだけど、実はラストもラスト、「大義のため」みたいに相手をひとりにしちゃったこともう絶対やだわ!!! つって「国の大義」ブッチしてるし、そのさらに先の「ここさえ」てところですら、目の前のひとり(恋しい相手ですらない)(が、その人のためのことではある)のことを「国の大義」より優先しており、
託された「たのんだぞ」ではないものを、選択しているのだよな。
ああいう選択する人だからこそ、ではあるのだけど、個人的にはどうしたってそこの構図は痛快。
個人は「国」のことなど、いつだってブッチしてよいのである。国が個人をブッチするのは許されないけどな。絶対に許さん。

んーーーー
「見なかったことにできる」ようなシーン、と書いたけど、見なかったことにできるかどうかは人によるし、結局は私も見なかったことにできてないから、気にしてるんだよな。

解像度下げまくって背景に溶かしたような心地を自分で自分に対して演出して、作品を楽しもうとする。みたいなこと。

文章にすると「そんなことしてまで読みたくねぇ」ってなってしまうんだけど、日本社会にいたら、多かれ少なかれどこかで何かをそうしていないと生きていかれない瞬間の連続ばかりで、だからただただ日常と同じことをしているだけであって、
現実世界に対してだけでなく、どれだけ褒めまくってる作品に対しても、これは(これもやっぱり、多かれ少なかれ、ですが)やっていることなので、特別ではないことだから強調もしたくはないんだけど
せざるを得ないとも思い……みたいな

mastodonだと500文字ウダウダし続けられるのね

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