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夜に一人、さめざめと涙する空を見上げるとそこには巨大な鼠がいた。灰色に毛羽立った無数の心を吸い上げた怪物は、はりつめた都市を眺める。それは尊い。一切の同情も憐憫も無いからこそ、【全てにおいて同じ距離】を保つことができるのだ。
覗き返した者を除いて。
私と目が合った。鼠は笑った。轟きは地面がぐらつき割れる程響き渡った。私は目を見開き、全身にその泣き笑いを浴びる。
「お前は、私だ」
もう一度鼠を睨みつけると、暗く淀んだ空一面が果てしなく広がる鏡と化していた。
驚いた私を嘲るかのように更に激しい冷笑をする鼠。避ける間もなく、雷鳴が私の身体を貫き、震わせ、殴りつけた。一瞬の法悦。
雨は降り続けている。
排水溝に一匹の鼠が落ちた。

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