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【本を読む:
『多元的無知』(東京大学出版会、2023-12)を読み始める。研究史の回顧によれば(これ自体が真っ当な個別研究らしく、なにしろ挙げてある文献に知ったものすらないから、ますます門外から)1世紀に及んで積み重なった用語の群はすっかり業界内で確立していると思しい。

多元的+無知(pluralistic ignorance )からして、日常のことばからはさっと理解しがたいようす。
いきなり「多元的無知とは,『集団の多くの成員が,自らは集団規範を受け入れていないにもかかわらず,他の成員のほとんどがその規範を受け入れていると信じている状況』として定義されてきた」(1)とあるのもそれゆえかはさておき、何がどのように「複数」なのかピンとこない命名に思った(「多元」を政治学でしか知らないのがよろしくない)。
「多元的」とは、個個人が特に無関係のまま複数の他人に関して「無知・誤解」のままと解せそうだ(あえていえば「非共有無知」だけれど,通常は複数の者で無知を共有と思う)。

【本を読む:
多元的+無知(pluralistic ignorance )の「無知」も、「多元的無知という現象を理解する上で外せない社会社会心理学の古典的概念」を選び出し,「同調とは,個人が,自己の信念と集団規範あるいは集団成員の多数派が示す標準との不一致を認識し,集団成員からの暗黙の圧力を感知して,その規範や標準に合致するよう態度や行動を変化させること」(多元的無知、3)と補助させる。
残念ながら少し早まった印象。以後の回顧なり事前説明なりが微妙に(序章というとりあえずのまとめとして)ぶれながら進む。

いやもちろん「第1部」の「方法論上の困難にチャレンジした2つの実証研究」(14)という「多面的な検討は」(ちなみにここでの複数性は,明示してある「検討」にかかってまぎれがない)「社会心理学における『文化』『集団規範』といったマクロな研究と,『対人認知』『心の推測』といったマイクロな研究との統合を目指す上で,重要な一歩」(15)と宣言してある。

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