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サンタのヴェと善い子のマの話 

サンタのヴェは日本支部で働いている。最近支部長クラスに昇進して指示を出す側になり、現場(配達)には出なくなったが、元は欧州のみだったサンタの出動範囲は年々広がっており各支部の割当は増すばかりだ。今年は自分も出なくてはならないかもな…と病欠者の名簿をチェックしながら頭を悩ませていた。
ヴェの上司は冬の王の王太子殿下すなわちしごできのため部下の力量を完全把握しておられるので、できない仕事は回されない。トラブルで手が足りないならこちらから早めに連絡しなければならないが、現時点では微妙なところだ。ヴェの部下への指示はほぼ出してあり自分は手が空いた。なら少しでも件数を減らしておくか…と現場に出ることにしたヴェ。
数軒回り、順調に配達をこなして最後の家に辿り着いた。この家の子は上はもう18歳だから下の子だけだな。それも今年で最後か。
下の子の枕元にそっとプレゼントを置いて任務完了とばかりに外に出ようとすると、カーテンの端から伸びてきた手に服の裾を掴まれた。
「サンタさん…!ようやく会えた!」
「は?なんで俺が見えるんだ?」
善い子のマは昔配達に来てくれたサンタに一目惚れしたけどそれきり会えなくてずっと探してたので、もう逃すつもりはないというマゼヴェルの話

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