『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の冒頭を久しぶりに読んで、昔は全然ちゃんと読めてなかったんだんだなと思った。記憶してた以上に上手いし、じつはかなり笑えるし、いろいろ凄いなと素直に感心してたんだけど「ただの太った女なら、それはそれでいい。ただの太った女は空の雲のようなものだ。彼女はそこに浮かんでいるだけで、私とは何のかかわりもない。しかし若くて美しくて太った女となると、話は変ってくる。私は彼女に対してある種の態度を決定することを迫られる。要するに彼女と寝ることになるかもしれないということだ。」というくだりに差し掛かり、まだまともな会話すら交わしていない初対面の女性に対していきなりそんなこと思いますか…、そうですか…となった。昔は何も気にせず、そうか大人ってそういうものなんだなって素通りしてたし、なんならこう思うことがクールだとすら思ってたかもしれないけど、今回はコイツ結構やばいなと思って笑ってしまった。この笑いに関してはたぶん春樹の意図するところではないと思うんだけどどうだろう。