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梨木香歩「沼地のある森を抜けて」を読了 

主人公は先祖代々、かきまわし続けたぬか床を相続することになった独身の会社員だ。両親と死に別れ、疎遠となっていた叔母が死んだことでぬか床を受け継ぎ、いやいや管理することになるが、野菜を漬けているうちに不可思議な卵がぬか床に生じる。卵からは、見る人間によって姿が変わるナニカが生まれ、主人公はそのナニカに時に愛情を掻き立てられ、時に憎悪と怒りを抱く。ぬか床を通して、命を生むとはなにかが語られているが、壮大なようでぬか床という所帯くささが「命」の尊くて猥雑という両面を感じられてすごく好き。ぬか床そのものが美味しそうだった。中盤手前から登場する風野さんと主人公との展開が驚いた。ロマンスでもある。壮大な命の流れと人間同士の触れ合い、すごく面白かった。

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