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京都・智積院の名宝/サントリー美術館
主眼はやはり等伯・久蔵親子の絢爛豪華たる障壁画。「桜図」は胡粉を盛り上げることで花弁の存在感が増し、落とした灯りの下で抒情的であった。対して「楓図」は力強い幹を中心とした密度の高い構図で、華やかさに魅力されると同時に安らぎを感じた。

長谷川派による「雪松図」は切り貼りの痕跡が顕著である。火災などの災厄に見舞われてきた智積院の歴史の一片なのだろう。焼失した「竹図」も実物を観てみたかった。

モダンで印象的だったのは等伯「松に黄蜀葵図」。巨大な画面が迫り来るようで、設えの一要素としては異様な存在感を放っている。
次に、時代が下り昭和初期の麦僊「朝顔図」。清涼感ある洒脱な一幅だ。

「瀑布図」は南宋時代の水墨画で、寄進された作品の一つ。豪胆かつ繊細な筆致で轟々たる瀑布と峻厳なる崖壁を描き分けており、見事だった。
密教の宝具や戒体箱などにおいては、金工、螺鈿細工などの手業が光る。久々の展覧会を堪能した。

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