「科学なんて分からない」と何故か自慢気に言う先輩。彼に「…とみられる」とか「…を示唆する解析結果」とか、科学的成果の推定表現が何だかはっきりしなくて気持ち悪いと言われた。
地震の科学で直接見られない何かを断定できるとしたら、それはずっと後になってからですよ…。
例えば震源断層の全貌なんて直接見られるわけじゃない。断層長は古典的な松田式(1975年)、logL=-α+βMで計算して推定する。
この式は国の長期予測や最大クラスの地震想定などでも使われ続けているが、経験式だ。陸地だって全部掘り返せるわけじゃないし海底下なら間接的に探査するしかない。
しかも松田式はもともと内陸の起震断層とマグニチュードの関係式で、長さ20~80kmまでの事例に基づいている。その適用性を考慮した上で、さらにα、βの係数を決める際に信頼性を確保しなければならない。
直接見られるわけじゃないからこそ、何重にもプロセスを通してそこから最も確からしいものを判定せざるを得ない。
科学一般においてもある論文がその後否定されることなんていくらでもあるわけで、「要するにどうなの」という答を出すには時間がかかる。真理は即時性とは相性が悪い。
ということを言いたかったが、非常に疲れていたので「そうですか」とだけ返答してしまった。