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サラサラのロン毛が好きじゃねえ、そう言ったのは三井の言葉を受けての反射的な返しではあったが本心でもあった。思い出の中の"みっちゃん"はさっぱりとした短髪でキラキラしていたからそうじゃなくなってたそれが気に食わなかった。関係がうまく行ってない母親と似ていたことも苛立ちの一つだった。
だからバッサリと切られたその頭を見たとき、恥も外聞もなくバスケットに打ち込んでる姿を見たとき、バスケットを通じて関係が良くなっていったとき、山王戦の途中であの"みっちゃん"が戻ってきたと感じたとき、とても嬉しかった。
だから、この気持ち。
あの髪に指を滑らせて、指の間を通る感触をたしかめたかったとか、後頭部の髪を掴んで顔を上げさせて、鼻血で濡れてる口にかぶりつきたかったとか、その機会が永遠に失われて、残念だとか。
これらはきっと何かの間違いだから。
ぎゅと握った拳の中で粉々に砕いて忘れた。

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