「見つめるのが怖い」
鏡ごしにファリアの姿を見つめる。そこに映る自分の顔はなるだけ目に入れない。恋に落ちた男の顔のなんとみっともないことか!
こんな表情で、こんな目つきでファリアを見ていたのかと知ってぞっとした。そんな自分を知ってからは普段は努めて普通を意識するようになった。ただの可愛い相棒を演じるのは簡単だ。大丈夫、大丈夫と心の中で繰り返す。
それなのに、今、鏡ごしのファリアを見つめるのが怖い。
そっと盗み見ていたつもりなのに、必ずと言っていいほどファリアと視線が合うのだ。
鏡ごしに俺を見るファリアに、全て見透かされているような気がしてしまう。そして何より、自分と同じものを彼の目に期待してしまう。見つめるのは怖い。でも見つめずにいることも出来ない。
鏡ごしに絡み合う視線の答え合わせは、まだもう少し先。
お題.com さんからお題お借りしました。