私はたまたま祖父が書道家だったため、小学校の冬休みの宿題で出た書初めのために年末に毎日数時間におよぶ特訓を受け、学校からもらった本番用の紙も使い果たしたので祖父が持っているかなりいい書道用の紙をカットして小学生の一般レベルを遥かに超える書を完成させ、新年の小学校の始業式に持参したのですが、翌日、教室のうしろに貼り出された私の書に、金賞を表す金の折り紙は貼り付けられていませんでした。
かわりにどう見ても投げやりに汚く書き殴られただけの原くんの作品に金の折り紙がついていました。習字の先生に抗議のために私の書はどうかと聞くとひとこと「元気がない!」とだけ言われました。泣きました。芸術を他者に理解されない苦しみを初めて味わいました。
字が綺麗でもいいことなんて何もないんだよ。