同じく短編「などらきの首」のネタバレ感想
「などらきの首」
短編ながらまとまっていて、二転三転する展開は一気読みできる面白さ、怖さだった。
読んでいる途中で、幼い頃に読んだ昔話を思い出した。鬼がおばあさんに化けて渡辺綱のところを訪ねてきて、以前に渡辺綱に切られた自分の腕を取り返してしまう昔話。
おかげで、そこからは「うしろうしろ!」とでもいうような気持ちで野崎たちの言動を読む羽目に。「下宿ってどこやったっけ?」という素朴な質問にはゾッとした。
怪異も万能なわけではなく、情報が渡ってはじめて襲われるあたりが、かえってリアルさにつながる気がする。「住人が導き入れないと入れない」とか「答えなければ知られない」といったお話はいろいろあるように思うが(このシリーズ最初の「ぼぎわん」もそういう側面があった)、怪異を呼び込むのはやはり人間だということにつながるのかな…。
#読書