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澤村伊智「ぼぎわんが、来る」読了。面白かった。気を付けて書いているけれど少しネタバレかも。 

ミステリーもSFも好きだがホラーはそれほど読まない自分でも、一気読みできるホラー作品だった。いわゆるホラーとしての怖さももちろんあると思うけれど、人間描写の怖さ(褒めてます)の方が、読み進める原動力となった。

特に一部と二部が秀逸。
実は序盤では、読んでいて違和感を覚える描写がちらっちらっとあり、少々微妙だと思った。まあそんなこともあるよね、この登場人物がたまたまそういう考え方だということだよね…と気にしないようにして読み進めていた。
が、たまたま紛れ込んだ描写などではなかった。微妙だと思ったのは作者に失礼で、おそらく全てが考えられた上での構成なのだろう。伏線が回収されていく展開に引き込まれた。視点が変わると世界はまったく違って見える。

また、登場人物を善悪二元論的に分けてしまうようなスタンスではないところもよかった。傍目からは違和感を覚えるような振る舞いをする人物だからといって、イコール悪として断罪されて終了というわけではなく、自らの立場や考え方の上で、本人なりに精一杯やっている側面もある。そしてそれが他の人物に伝わる瞬間もあるということは、一種の救いになるのだと思う。

続きも読んでみたい。

返信 

わたしも以前読んだのですが、第二部で実情がバラされる仕掛けになってるのが面白かったことを思い出しました!いろんな違和感や、絶妙に魅力のない語りすら伏線だったのかと驚きますよね。妻子を守ろうとはしているという点が切ないです……!

返信 

@erin
そうそう、そうなんです!
奥歯にものの挟まったような感想でもわかってもらえて嬉しい。

どうもイラっとさせてくる主人公だなと思いつつ第一部を読んでいたのだけれど、第二部でそうか全部伏線だったのか、と。
そして、バラされた実情の方は「あるある」と個人的には大変共感するのだけれども、だからといって彼を切り捨てて終わるだけでもなく、それでも妻子を守ろうとしていたのだということだけは伝わっているところが妙にリアルでした。現実でも、そうやっていっぱいボタンの掛け違いがあっても、髪の毛一筋くらいの何かはつながっていることってあるよね、と納得したりもして。
続きも楽しみに読もうと思ってます!

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