アンディ・ウィアー『アルテミス』読了。
年末に読んだ『プロジェクト・ヘイル・メアリー』がとても面白かったので、同著者の他作品にも興味を持った。そのうち『火星の人』も読みたい。
さて『アルテミス』。
主人公の一人称の語りで話が進むが、もう少し砕けすぎない文体の方が自分は好みだなとは思った(翻訳の影響かも)。また個人的には、やはり『ヘイル・メアリー』の方が、入り込んで読めるストーリーだった。
とは言え、自分が『ヘイル・メアリー』を気に入り過ぎただけで、本作も十分面白い。架空の月面都市生活の描写は細かいところまで凝っていて興味深い。気圧が低いせいで水の沸点が低いため、熱いコーヒーや紅茶が飲めない、とか。著者の頭の中には、設定がもっともっと詰まっているのだろうな。
事件が起こるのももちろん月面上なのに、自分などはつい地上と同様の想像をしてしまいがちで、例えば爆発シーンでは、ドーン!と派手な爆発音を勝手に脳内で思い描いたりする。でもそこで、真空中なので基本的に音は伝わらず、地面を通じて伝わるのみだという説明が文中で入ると、「そういえばそうか」と脳内風景を修正する。そうやってイメージを補正しながら月面のあれこれを想像するのも楽しい。
ストーリー展開は早く、どんどん事件が起こるので、テンポよく読める。
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