「十次と亞一」のこと
私の感じたことをできるだけそのまま書くと、私はこのお話、優しくて怖くてかなしくて、でもやはりとても優しいお話だと思った。
周りの「多くの」人と、ものの見え方や感じ方が違うことの苦しみと軋轢と、その昇華が描かれている、と私は感じた。
亞一さんの「違い」は、彼の「才能」だと思う。(それを引き出す人がいてこそだけれど、それはどんな才能でもそう)
いや、こんなありきたりの言葉では全然表現できない、個々人の持つ内面世界の深さと豊かさと、怖さ。
それらが独特な表現方法で見事に描き出されていると、感じた。
十次さんはもちろん、弟さんや花ちゃんといった人々が、「普通」かどうかということで人を切り捨てたりしないから、救われているところはある。現実にはこういう人はもっと少ないかも知れない。
だからこそ、優しいお話だと。