記憶喪失6
記憶を失った6。7の事も何もかもを忘れてしまった。
初めて見た美しい水色髪の女性。こんなに美しいものはないと無意識に手を伸ばす。
何をされるかも気づかない無垢な瞳はきょとりとしたまま、伸ばされる手を見ている。
自分が害されるとも邪な感情に晒されてるとも思いもしていない顔で。
そして、触れようとした手は届く前に阻まれた。
燃えるとも弾けるとも言うような強い反発。
保護魔法が掛けられていた。
自分で自分にかと思ったが違うようで、僕の反応を見た彼女の方が驚いていた。
その力は僕の持つそれと同じ。
僕は僕をも警戒していることを知って、心から記憶を失う前の僕自身に感謝した。
世の中には触れてはいけないものがたくさんあるのだ。
そして、そのものは誰もが触れたくなるほどの魅力を時として放っている。