君は愛しのお嬢様②
「そもそもどうしてロックマンが従者なのよ」
ロックマンは絶対、従者の顔してないと思う。こんなキラキラしい顔面の従者がいてたまるか!
「そんなことないよ。顔のいい下僕を置くのは貴族ではよくあることだしね」
「自分で顔がいいって言った…」
「謙遜しても仕方ないことだろ」
「君は僕を見せびらかしながら参加すればいい。ドーランでは貴族と平民の婚姻は成されないしね」
「見せびら…かす?」
「潜入して真意を探らなければならないからね。主催者とは接触したいし」
パートナーでは趣旨を理解されてないと判断されて潜入調査としての役割は果たせないので、ナナリーの近くにいれてかつ自由に動ける従者が適任なんだとか。
それにしてもだ。
「私が向いてるとは思えない」
「同感だよ。君には絶対に無理だろうし、頼みたくはなかった」
「そこまで悪し様に言わなくてもいいじゃない!やってやるわよ!完璧なお嬢様に変装してあんたをギャフンって言わせてやるんだからっ」
「楽しみにしてるよ」
君は愛しのお嬢様(ちょっと飛んで)
某国の王族の係累が魔物に対抗しうる力を持つ氷型を国で確保しようと王族の中で唯一の氷型の王子と氷型の魔女を一同に集めて側室(ハーレム)を作ってしまえと安直な考えをする。
そのため、伴侶選びと言いつつ、その夜会に参加した女性たちは皆、側室候補で招かれた城の客間を滞在中のために用意された。ドーランと件の国が遠いこともあり宿泊を余儀なくされたが、歓迎の夜会の夜、ナナリーの元へ王子が夜這いをしにやってくる。なんでも、ここはもう側室のための城だから王子のお手つきは名誉なことだと言ってナナリーに迫るが、ナナリーの夜着に手が掛かろうとしたところで崩れ落ちる。
ロックマンが混沌の魔法を掛けたようだった。
「下衆め…」
倒れ込んだ男を雑に放ると、寝台の上で唖然としているナナリーを覗き込んで、「勝手に部屋に入ってごめんね」と。
思わずロックマンにすがりついてしまうナナリーを優しく抱きしめて怖い思いさせてごめんねって謝る。
「これだから、君にやらせるのは嫌だったんだ。君が無意味に傷付くところは見たくない」
それに、僕も君に何かあったら調査とかすっ飛ばしてしまいそうだからね。と。