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勘違いされたい男 

ナナリーはどうしてそんな会話になったかおぼえていない。ごく自然とそんな話題が上がっていたのだ。
「釣り書の数がすごくてね」
「そりゃあ、結婚の自由があるから誰でも選び放題だしダメ元で送ってくる人もいるでしょ」
「…そういう意味の結婚の自由じゃないんだけどなぁ」
「そうなの?」
「そうなんです」
やけにハッキリと言い切る男の真意は分からなかったが、自分にそもそも関係するとも思っていなかった。
淡いながらも確かにこの金髪男に好意を寄せていると言うのに。
そしたら、それが気に入らなかったであろう男は胡散臭い笑みを浮かべてナナリーに言った。
「君が僕の婚約者になってくれたら釣り書には悩まされずに済むんだけど」
「嫌よ」
反射だったが、本心だ。
そんな理由なんてごめんだ。恋する女の子は難しいのだ。

…そうあからさまに落ち込むな!こっちもザワザワするじゃないか。

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