数年前に亡くなった大学の恩師の奥さんに、地元のお菓子を送る手配をしました。あれからもう結構経つんだな、と不思議な感じ。
恩師とは学部生時代から一緒にヴィトゲンシュタインのテクストや研究論文を読んでいて、途中、大学院時代の中断をはさんで、修了後に某団体に就職してから、亡くなる数か月前までずっと続けていました。たぶん通算で数百ページは一緒にドイツ語や英語の文章を読んだと思います。『論理哲学論考』は2回読みました。
思えば、中央から遠く離れた田舎で、ドイツ語でヴィトゲンシュタインを一緒に読んでくれる人が居るということは、かなり稀なことだったわけで。でもそれが身に染みてわかったのは恩師が亡くなった後で、もうああいう贅沢な機会は二度と巡ってこないのだろうなあ。
画像は『哲学的探究』冒頭(1958年第2版、Basil Blackwell)。