アレクセイの置き土産でユーリの心を無茶苦茶にしてほしい妄想(前)/ユリレイ 

アレクセイの私物は一部を除いて全て処分される事を知ったレイヴンが埃とカビくさい倉庫に足を踏み入れて片隅に雑多に置かれていたアレクセイの私物から読み古した一冊の本を手に取る。

それは仕事以外で珍しくアレクセイが読んでいた本で内容は忘れたがこの本を読んでいた時は少しだけアレクセイが昔の表情に戻っていた事を思い出す。
ページの間に封筒が挟まっている事に気付いて取り出すと彼の達筆な文字で「シュヴァーンへ」と宛名が書かれていて警告のように心臓の魔導器が激しく痛みだす。

帝国側に渡すべきだと頭で理解しているのにシュヴァーン宛の封筒の封を切ると中に入っていた黒ずんだ銀の栞が掌に触れた瞬間、電流を浴びるような感覚と共にレイヴンは意識を失う。

目が覚めるとエステルとフレンが心配してる様子におよよ?と状況が掴めない顔をしているレイヴンにフレンが説明をする。

「倉庫で倒れているレイヴンさんを見つけたと部下からの報告があり僕の部屋に運びました」
「えっ?!あー……そういや足滑らして頭ぶつけちゃったわ…嬢ちゃんとフレンちゃんに心配かけちゃったわね」
すぐにベッドから起き上がろうとするレイヴンを制止してリタが来るまで寝ててください!と2人に怒られる。

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アレクセイの置き土産でユーリの心を無茶苦茶にしてほしい妄想(中)/ユリレイ 

その様子を遠くから見ていたユーリが近付く。
「…おっさん、俺が分かるか?」
「おっさんそこまで耄碌してないわよ!」
青年ひどいと騒ぐレイヴンに目を見開くユーリ。

「レイヴンが触れた栞は国の地下保管室で厳重に管理していた古代民族の作った呪具で、古い文献によれば触れた者の最も大切な記憶を消してしまうと記載されていましたが…」
「えー…迷信じゃない?だっておっさん何も忘れてないよ?青年に嬢ちゃんにフレンちゃんに少年にリタっちにジュディスちゃんにパティちゃんに…」
エステルの説明を聞いて信じられないと肩をすくめて思い浮かぶ人物を指折り数えていると遮るように思いきり壁を殴ったユーリに驚く3人。
「ふざけんなよ…」

レイヴンが倉庫に行くこと
レイヴンがその本を手に取ること
レイヴンが封を開くこと
レイヴンにとって最も大切な記憶だという確信

「なになに?!キレる二十代?!」
「一体どうしたんだい、ユーリ!」
「ユーリ、血が…!」
ビビが広がる壁と血まみれのユーリの拳にハンカチを当てようとしたエステルの言葉を聞かずにレイヴンの前に立つ。

「アレクセイ」

ユーリの唇が象る言葉にレイヴンが首を掲げる様子を見て途端に青ざめるエステルとフレン。

アレクセイの置き土産でユーリの心を無茶苦茶にしてほしい妄想(後)/ユリレイ 

ユーリの言葉が物なのか人名なのかさえ分からないのにドクドクと鼓動が早くなり胸の痛みは増すばかりでちょっと青年とレイヴンは笑いかける。

「新しい技名?効いたから勘弁してよぉ…」
いつものように笑ってるのに大粒の涙が溢れるレイヴンが痛々しくてアレクセイの存在がどれだけ彼の中で大きかったか、それを自ら手を下したレイヴンを想って口元を押さえて堪えるエステル。

「そんな…!では、シュヴァーン隊…」
「なに、二人しておっさん虐めない…で……」
シュヴァーンの単語で一気に全身が引き裂かれる激痛にこれ以上3人に心配をかけまいと明るく振る舞おうとするが失敗して再び意識を失ってしまう。

「忘れられる方がよっぽど良かったぜ…」

呪具の話を聞いた時、レイヴンが自分とのの記憶を失うことよりも覚えている事が怖かったユーリは【天を射る矢のレイヴンを手に入れて【騎士団隊長首席のシュヴァーン】を失う。

[ここまでの話をセーブしますか?]
はい◀︎
いいえ

アレクセイの名前を嫌でも聞く事になるザーフィアスにもダングレストにも居れなくなったレイヴンはユーリとかりそめの二人暮らししたり紆余曲折あって元に戻るやつ。
恋人の一番になれないの寝取られよりキツい。

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