壊理ちゃんとブラドの実家に再訪する相澤(中)/ブラ相
多分、ご両親と祖母は足のことを知っていると思ったが口にはしなかった相澤。
自分の息子や孫と同じ職業の男がここ一年でこんな怪我をしたら心配するだろと言う相澤に「あば(祖母)はお前だから泣いた、それだけだ」飲み物を取ってくるとブラドが離れてここに来て初めて寒さを感じて白い息を吐く。
「お風呂、ありがとうございました」
親戚達が帰ってブラドの両親と祖母のいる居間にスウェット姿で髪を束ねた相澤が寒いからとこたつに誘われる。
ブラドと同じでどこまでも優しい人達だと心が暖かくなる。
ブラドは奥の部屋で壊理ちゃんの隣で眠っている。
パチンと義足を外して傍に置くと畳に正座をする。
「このような姿で失礼します。前回はお伝えすることは出来ず申し訳ございませんでした。赤慈郎さんとお付き合いしている相澤消太です」
緊張しているのか喉が張りつく感覚に唾液を飲み込む。
「ヒーローという不安定な職業をしており、このような姿になりました。赤慈郎さんはこんな俺と将来を考えてくれますが男同士なので結婚も子供も作ることもできません」
雪のつもる音がやけに大きく聞こえる。
「別れるべきだと理解していますが……俺には無理でした。彼を愛してます…これから未来を共に生きることを許してください」
壊理ちゃんとブラドの実家に再訪する相澤(後)/ブラ相
お願いしますと深く畳に頭を下げた相澤は背中が暖かいと思っていると鼻水を垂らして泣き顔のブラドに背中を抱きしめられていた。
「俺…は、おま…、…一方で…っ、ひ…おも…でだ……」
「(何言ってるかわかんねぇ…)」
しゃくりあげて泣くブラドの重みが暑苦しくて重いはずなのに頭からつま先まで全身が暖かくなる感覚に幸せだと相澤は思った。
更にボロ泣きの両親と祖母が重なってアメフト状態になって流石に息ができないとおんおん泣く四人を退けようと手形がつく威力でブラドの太腿を叩いた。
壊理ちゃんが大切に抱えているりんご以外の業者レベルの大量のりんごは宅急便で送ることにして目を真っ赤に腫らした父の運転する車で駅まで送ってもらう3人。
「来年の夏、また来ます」
その言葉に涙腺が壊れた母と祖母と父が泣き、ブラドも泣く。
大の大人4人の号泣に壊理ちゃんが完全に困っているので泣き止んでほしいと思いながら寒いので中に入ってくださいと頭を下げて車に乗る。
ふと後ろを見たら車が消えるまで寒い中ずっと外で手を振っている2人の姿を見て、相澤は涙が止まらなくなった。
泣き出した相澤を見て伝染した壊理ちゃんが泣き出して、寮に帰って泣き腫らした3人を見て何があったと心配するマイクだった。