そんな事があった数ヶ月後、消太が妊娠した。
今まで出来なかったのに突然子宝を授かった俺は喜んだし一生こいつらを幸せにすると誓った。
消太のパート収入が減り、子供のために貯金を残したいから家に金を入れて欲しいと頭を下げた消太に「産んだ後に働いて貯金すればよくね?」とプロヒーロー時代に組んでた生命保険をいくつか切らせた。
これで金の面は解決。
そもそも俺がいるのにヒーローやれる暇どこにあるんだよと思っていたので丁度良かった。
金髪碧眼の可愛い女の子が生まれた。どうやら俺の先祖に異国の血が混ざってたみたいで俺に似て可愛い子産めた事を感謝しろよと言ったらそうだな…と笑っていた。
消太が役所から貰った出産祝い金で俺はソープに行き数日ほど家に戻らなかった。
退院した時に迎えにきてくれと言われて忙しいと断ったらタクシーで家に帰ると舐めたことを言っていたので徒歩で帰れとラインを切った。
そして消太は二度と俺の家に帰ってこなかった…。
最初はすぐ帰ってくると思っていたが携帯も一切つながらない。
パート先だった消太の友達のヒーロー事務所に行けば「知らない」と友達らしかぬ薄情な返事に「お前ら消太の友達のくせに何もしらねぇのかよ!!」と怒ったら警察を呼ばれた。
水道も電気も停まり、家賃滞納の回収にきた大家が隣の童貞ボーイが海外留学したと我が物顔で話すのが気に食わず暴言を吐いたらアパートから追い出された。
会社で寝泊まりしていたらムカつく上司が汚いだの臭いだの言ってきたので辞めて退職金でホテル生活をしたがあっという間に金も無くなり消太が買ってくれた車も手放すことになった。
これも全て消太のせいだ、帰ってきたら家事も仕事も全部やらせて俺は家で悠々自適に過ごすと決めた。
5年後、外に家を建てて空き缶を売って日々の生活を過ごしていた俺はテレビの大画面に映る金髪の男に目を奪われる。
「私がこうしてヒーロー活動が出来るのは愛するパートナーと子供のおかげです!」
そう言って消太と俺の子の写真を自慢げに見せる男の姿に全てを悟った俺だった。🔚