通勤電車で浮かんだ小ネタ 

 ぷうぷう、可愛らしい鳴き声をあげながら、子豚がラハの足に頬を擦り寄せてきた。
 子豚をラハが抱き上げて、背を優しくとんとんとする。
「迷子か? それにしても、とんとんされて気持ち良さそうにしやがって」
「……あんたにもしようか?」
「俺をラハが抱っこしてか? サイズがおかしい」
 顔を見合わせて笑う。
「そういやガキの頃、可愛がってた子豚がいたんだよな」
 子供の頃の話!とラハの目がきらきらし始める。
「可愛がってたのに、そいつな。──俺の誕生日にご馳走になってたよ。今ならなんとも思わんが、ガキだったから悲しかったな」
 しみじみ言えば「悲しかった?」と、ラハが固まった。
「どうした?」
「えっと……育てた子豚がご馳走になるのは、哀しい……のか?」
「可愛がったからな、ペット的に」
「え……と、あ……っ。待ってくれ、ライナが泣きそうだったのは……」
「やったのか」
「いや、だって。子豚を潰すなんて、かなり特別な時じゃないと。あの頃はまだ……」
「やったんだな、ライナが育てた子豚を」 
「……やりました」
 しおしおするラハの頭を、男はなんとなく撫でた。
「そういうとこも、好きだぞラハ」
「オレはあんたの全部が好きだ。……今度、ライナにすまなかったって言っておいてくれ」

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普通にやりそうだなあって、ただそれだけ!

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