「鶏って体温高いらしいけど、お前も体温高いよな」
そんなところまで似なくていいのに。
告げられた内容に褒められているのか馬鹿にされているのかルースターには判断がつかなかった。けれどこれ幸いにとハングマンはあちこち撫で回してくるから前者なのだと思いたい。
「……だったら…触らなきゃいいだろ」
半分意識は眠りかけているから邪魔をされて返す言葉は自然とそっけなくなる。
「何で?」
「……暑いんだろ?」
睡魔は思考を曖昧にしていく。筋肉は熱を発すると聞くのでお互いに職務上鍛えてる以上は基礎体温は高くなるし、鶏の体温どうこうは関係ないはずだ。そんな二人が揃えば暑さを感じても仕方ないのかもしれない。
「そうじゃない」
手のひらで頬を包み込むように撫でられる。けれど閉じかけたまぶたはどうしても持ち上がりそうになかった。視覚が閉ざされれば他の感覚が研ぎ澄まされるのか触れられた手のひらの温かさが染み渡る。
「抱えて寝るにはちょうどいいって話だ」
触れた手のひらはそのままに親指は唇をなぞるように動く。
「…羽毛はないぞ」
柔らかな手触りは望めないと何とか告げれば。
「俺はこれがいい」