『密輸1970』見てきた〜〜〜めっちゃおもしろかった!
平日の午前中とあってか、空いててよかった。
昨晩、どの席を予約するかさんざん迷って、「(映画館) 席 おすすめ」で検索して、おすすめゾーン(画面をよく見られそうなあたりという意味で)から外れる通路側の席を予約した。
実際行ってみたら、おすすめに近いゾーンの通路側は平日でもそこそこ埋まってた。ほっ……。私はその反対側で画面の端っこだったけど、小さいとこだったからそれでも十分ちゃんと見られた。
一番後ろの席にするかどうかは最後まで迷ったけど、その映画館の一番後ろの列は隣の席との空間が狭いことに気づいてやめたのだった。
映画館に行った最後が新型コロナウイルス感染拡大まっしぐらな2020年(見たのは『マルモイ ことばあつめ』)だったから、いろいろな点でけっこう緊張してて、いよいよになったら途中で帰ったろと思ってたけど、無事に最後まで見られてよかった
『密輸 1970』の感想(ストーリーに言及あり)
ヨム・ジョンア演じるジンスクが、年長者でしっかりしており家業への思い入れもあるのに、父の死後その家業を弟が継ぐというのは、NOPEで父の家業を兄が継ぐところを連想させた(本作は弟が継ぐことになる理由もあるのだけど)。
だから最後にジンスクが「船長」になるところでホロリときてしまうのだった(「最終的にだいぶ人間が消えてると思うが、逮捕とかされない? 大丈夫??」とはちょっと心配になった)。
ほんと、構造の描き方が見事だなあと思った。権力構造、権力勾配と、そこに置かれた弱い存在への視線がちゃんとある。ほんとよい……
リュ・スンワン監督作品、たぶん初めてだと思う(『モガディシュ』見よう見ようと思っててまだ見てないんだ)。アクションに定評のある監督さんなのか。納得。同監督の『サバハ』も、そんゆかさんだったかな、勧められていた記憶がある。それも見てみたい。
近しい年代と思しきキム・ヘスやヨム・ジョンアが演じるアクション映画というのもうれしい。「キル・ボクスン」のチョン・ドヨンとかさー。もっとやってくれーーー。
『密輸 1970』の感想(ストーリーに言及あり)
・眼帯のひとが出てくるたびに「服がおしゃれだな」と思った。
・オップンを演じたコ・ミンシ、『魔女』で主人公の友達(前髪にカーラーしてる)を演じたひとだった。あの役もすごくよかったな。
チュンジャとジンスクという2人の対比が当然光るのだけど、オップンも不可欠で。助演俳優賞みたいな賞があったとしたらコ・ミンシを選びたい(キム・ヘスとヨム・ジョンアはダブル主演俳優賞で)と思った。
・チュンジャの、カツラの下は今も黒髪ショート(ボブ)というのが熱かった。
・クォン、ドリ、係長のつながりは、「利権、利益でつながるやつらは(細かいことにはこだわらないでいられるから)そうそう分裂しない」みたいな日本の政治風景に見られるそれを思い出した。
・係長を演じたキム・ジョンス、『エクストリーム・ジョブ』では主人公たちが買い取るチキンのお店の店長を演じていたのだけど、ちょうど前の日か前々日に『エクストリーム・ジョブ』見てたもので、係長の極悪ぶりに感嘆したしイライラさせられたのだった。
あの係長、見下げる相手を腐す言葉が「脱税」で、ほんと権力クソがよとなった。
『密輸 1970』に関連して読みたいと思った本
◆『苦海浄土』(石牟礼道子)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000203535
朝鮮に進出したチッソについても書かれているというツイートを見かけて。
◆『韓国映画から見る、激動の韓国近現代史』(崔盛旭)
http://www.kankanbou.com/books/essay/0624
チュンジャが「家政婦だった」と訳されていたけど、正確にはこの本に書かれている「食母」ではないかというようなことを書かれていたツイートを見かけて。
どっちももともと「いずれは読みたい」と思っていたのだけど、改めて読みたいと思ったのだった
『密輸 1970』の感想(ストーリーに言及あり)
クォン軍曹(チョ・インソン)については、最初にカミソリの刃をさくっと頭に突き立てるところがなんかもうすごくてこっっっわってなったんだけど、そのあとのチュンジャとの距離感がものすごいよくて、それが最後まで続いたのがとてもよかった。
映画、やっぱり1回だと咀嚼しきれないまま飲み込んでるとこもあって、クォン軍曹と眼帯のひとについては私はけっこうそういうとこがある(2人とももちろんよかったけど、ほかがよすぎた!)。配信がきたらよく見返したい。
ところでチョ・インソン、私は昔の葛山信吾に似ているなあと思って見ているのだけど、この写真がとてもよかった
https://www.instagram.com/highcutmag/p/BnTNLcfHkNA/
たまにTwitterやInstagramで見かける韓国のメディアの写真、すてきなのが多くてほんといいな
『密輸 1970』の感想(ストーリーに言及あり)
一番危険な環境に身を置いて魚を捕り密輸品を引き揚げるのは海女なのに、その海女(弱い立場の者)が右を向いても左を向いても抑えつけられ搾取され、海女どうしの連帯にはヒビを入れられ、海に潜ればサメがいるという、その描き方が見事で、それだけに終盤までう゛〜〜〜ってなるところがたくさんある。
本作にかかわらず、キム・ヘスの演じる役は強いイメージがある。
本作でキム・ヘスが演じるチュンジャもしたたかにやってきた。でも、それはアクションで渡り合うような強さとは違う。男(表象)たちの振るう暴力にはまともに対抗してもかなわない。オップン(コ・ミンシ)だってボロクソに殴られている。
だからほんと、う゛〜〜〜ってなるし、目の覚めるようなアクションシーンですっきりとかもない、終盤まで。
でも、海の中では違う。地上では男たちに搾取されさらには命まで奪われそうになる海女が、海のなかでは縦横無尽に動き回って、狙ってきた連中を返り討ちにする。オップンも、係長を殺しはできないけど一緒に死ぬことはできるとばかりに飛び込む。あの一連のアクションシーンはうわーーーとなった。