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小学館 第一コミック局の声明について 

作家の皆様 読者の皆様 関係者の皆様へ(小学館 第一コミック局 編集者一同、2024/2/8)
petitcomic.com/

これ、文章の距離感にものすごい「ひとごと」的遠さを感じた。

同業他社か、同社内でも隣の隣の部署みたいな、いや、もっと遠いかも。

これが、芦原氏を担当していた部署の、現場の担当者(たち)のコメントなの? え、ほんとに??

局という部門の長が上から言われて何かコメント出さなきゃいけなくて……という組織的意向を汲んだものである、と言われたほうがまだ理解できる(でも終盤を見ると、そうでもないっぽい)。

そのぐらい「どっから言ってんの?」と私は感じた。びっくりした。

小学館 第一コミック局の声明について 

〈二度と原作者がこのような思いをしないためにも、「著作者人格権」という著者が持つ絶対的な権利について周知徹底し、著者の意向は必ず尊重され、意見を言うことは当然のことであるという認識を拡げることこそが、再発防止において核となる部分だと考えています〉

とあるけど、作家の権利を尊重する契約を結び、かつ、権利を尊重すべく動くことが求められているのはまず出版社ではないのか。今回でいえばそちら小学館編集部ではないのか。出版社がこれを履行することこそが、作家の権利や尊厳保護に資することであり、また出版社の介在する意義ではないのか。

小学館はこの言葉を、空に放つのではなく、日テレ方面に直接、芦原氏の権利尊重が実現されるまで、繰り返し主張すべきではなかったのか。

いや、後半の主張を見るに、このひとたちは「私たちはすべきことをした」と思っているのか?

だからこの文章に「小学館当該部署にふってわいた事故」みたいな感覚が漂っているように感じるのかな。

このコメント、どこに向かって、何のために出したんだろう。
結果的にかもしれないが、日テレのフォローにこそなれど、これが作家の安心に資するとも、周囲の信頼回復に寄与するとも、到底思えないのだけど。

小学館 第一コミック局の声明について 

〈事実かと思います〉

「思います」じゃん……

〈弊社からドラマ制作サイドに意向をお伝えし、原作者である先生にご納得いただけるまで脚本を修正していただき、ご意向が反映された内容で放送されたものがドラマ版『セクシー田中さん』です〉

そもそも、「芦原氏が納得するまで書き直さなければいけない状態に陥っていた」時点で、「意向」が十分に「伝わっていた」とは考えづらいのでは? そこで小学館側の権利尊重アクションに不備(不足)があったのでは? ……と、この編集部一同のひとたちは思わないのかな?

〈そこには、ドラマのために先生が描き下ろしてくださった言葉が確かに存在しています〉

いやいやいやいや……芦原氏が脚本を担う作品として誕生したのであればともかく……え? マジで? こんななんかキラキラふわっと語っちゃう?

小学館 第一コミック局の声明について(しつこい)(私が) 

〈これは、プチコミックが所属する第一コミック局という少女・女性漫画の編集部員全員で作り上げた文章です〉
twitter.com/petitcomic/status/

というツイートを読んで感じたのは、「小学館という大きい会社で、当該局に何人いるか知らんが、『担当編集者』以外の編集部員にとっては『ひとごと』なのかもしれないな……」だった。

〈先生のご意向をドラマ制作サイドに伝え、交渉の場に立っていたのは、弊社の担当編集者とメディア担当者〉の「メディア担当者」は、別の部署の社員なのではないかと推測できる。推測だけど。

そこに担当編集者がいた、とはいえ、それ以外の局員にとっては、どこか自分のあずかり知らぬ「外」で発生した「不慮の事故」出来事なのかも……と、自分の感想を強化してしまった。推測などに基づく主観ではあるが。つら……

大童 澄瞳/Sumito Oowara 氏のツイートより
午後7:51 · 2024年2月8日

〈関係なくないから言うが、イラストの仕事とかしてると契約書にしれっと「イラストの作者は著作者人格権を行使しないこと」ってかなりの確率で書いてあって、いつも普通に「ここ書き替えてください」って突っ返してるよ。まあ突き返すだけ親切だよ。こんな契約書で行使できなくなるわけないじゃん。〉

twitter.com/dennou319/status/1

これ、漫画やイラストの仕事だけでなく、ライティングの仕事でもあると聞く。

当該声明を出した編集部員は、担当する作家と会社がどういう契約を結んでいるか、ちゃんと書面を読んで理解しているのだろうか。その上でこのコメントを書いているのだろうか。

ちなみに、冒頭の大童氏のツイートは、以下にこう続く。

〈ワシは相手方の「突然ひっくり返されることは防止したい」という意図や事情はちゃんと理解してるつもりなので、「問題が発生した場合は双方速やかに協議を行う」とかそういう文言を追加する事で、契約の効果をお互い納得できる形にしとりますわ。

要約すると「言いたいことはわかってるから無茶で乱暴な書き方はしないで」ということ。〉

契約書の締結において、こういう交渉ができるひと、できる状況ばかりとは限らない。
「仕事を失うかも」と、相手に提示されるがままの契約を締結することだってあるに決まっている。

そもそも、すべての取引において、契約書やそれに準じる書面がきちんと提示され、確かな合意のもとで締結されているかといえばそれすらあやしい。

「著作者人格権」が「当然守られてしかるべき」と主張するならば、小学館第一コミック局は、作家の権利行使を守る(最低限、行使を妨げる内容にはしない)契約を締結し、それを履行する業務プロセスにしなければならない。

それを理解し、かつ履行したうえで、あのコメントを出しているのかなっていうのは、大いに問いかけたいと個人的には思うところ。これは、これこそ、小学館に限った話ではないけども。

小学館 第一コミック局の声明について 

確かにそこ、モヤモヤしますね。

8話までの「了承」も、締め切りまで時間がないと急かされる中での十分に納得できない了承だったんじゃないか。でなければ、「9話10話は自分で書きます」とまではならないですよね。声明では、対立を和らげるために書きすぎちゃってる感じがあります。

それでも、小学館上層部に逆らう声明であるのは確かなので、今後が心配ではありますが。

小学館 第一コミック局の声明について 

@mojimoji
芦原氏のブログ投稿、詳細は覚えていないのですが、脚本の修正はとてもではないがしたくてした「関与」ではないということが強く伝わってきましたし、その末にできあがった脚本にご自身でももちろん満足はされていない(それでも守るべきものを守るために致し方なかった)というニュアンスの記述もあったと思います。

その印象が残っている状態でこのコメントを読んで、強い戸惑いを覚えたのでした。

ただ、Twitterを見ていると、このコメントで安心感を得た作家さんもおられて、届くべきひとに届いていたならそれはよかったなあと思います。

そうですね、今後どうなるのか……

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