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『アイアンクロー』観た

「家族」と「強くあること」と「成功」が父親の執念で固められた呪い。肉体は屈強でも心はボロボロ。「強さ」とは何なのだろうと考え込んでしまう。あまり連鎖的な不幸の数々に大変しんどくなるが、不穏で陰鬱な作品で好みだった。胃のあたりがぎゅっとなる痛々しさ…

冒頭、リングと父親の顔(ストンピング的なことをしている最中…)がオーバーラップする時点で、これは執念深くきつい内容になる…!とわかる仕様、良いですね。
父親の「プロレス=強くあること=成功」それで「家族が幸せでいられる」という図式をそのままに身に着けてしまった息子達。しかし、彼らは本心でその図式を望んだわけでなく苦しんでいるのだが、自分の感情をわかっていないというか、どう表現すべきかわからず困惑し次々と壊れていく様子を見つめるしかなく…という具合なので、なかなかえぐってくる作品。
主に男らしさの呪いなのだが、自分には母親の態度もかなりきびしいと感じた。信仰によって目の前の問題から逃げてしまっている。本当に仲の良い家族なのに中身がこんなにも脆い、アメリカの一面でもあるのだろうか…とも考えた。

恐らく一番優しいのだろう"長男"を演じたザック・エフロン、苦痛、嫉妬、混乱などの感情を繊細に演じていて素晴らしかった。

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