『波止場』観た
波止場を仕切るやくざ者になるかならないか、それが問題だ。
犯罪の手先に使われた青年が、しがらみを捨て良心に従えるか、真に勇敢になれるかを語る作品。逡巡をじっくり描いていて面白かった。
人にもともとある良心を信じている話だったな。主人公テリー、最初から組織のやる事に不満たらたら、ボスへの恩もそれほど…な様子が、ボスの右腕の兄とのやりとりで、そもそも望まない生活なのだとはっきりする、あの場面でテリーが兄ちゃんに失望した様子が好きだった。仕方ないだろ、何ができたっていうんだと流されていた、その気持ちはわかる。
あくまでも、主人公テリー個人の心の変化に焦点があたっているけれど、その心の動きの結果が、恩義や保身という私的なところから、労働者たちの意志の象徴という公的なところに到達するのが面白かった。
やはり神父の役回りが大きいのが、信仰で道徳を支えてるアメリカらしさだと感じる。最後の行進とかイエスのようだ。
ゴッドファーザーとジョニデの映画に出てる(でも印象に残ってない)のしか見たことがなかったマーロン・ブランドの若い頃を初めて見た。正統派ではない格好良さかな、弱さと頑なさが同居してるような魅力があるんだな。あと腫れぼったいような目元が印象的なのかも。