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『カッコーの巣の上で』観た

精神科病院、狂気を装った男が患者達へ活力を与える。当時の世相か、体制を象徴する病院側を批判的に捉え、個人の尊厳と自由の渇望が主体。だが自主的入院者がいる様に、当事者には病を癒せる場…が、正しいだけではないのが難しく、それは個人も同様。複雑で苦い後味だ。

マクマーフィ、婦長、患者、または別の視点、どこ寄りで観るかで感想が違ってきそうな複雑さがあるのが良いと思う。私は強いて言えば患者寄りで観ていたかな…。苦しかったり対処したくて病院に来ているはずなので、マクマーフィは楽しいが迷惑だし、婦長らの安定感は必要だがミーティングは確実に症状悪化しそうで、他に良い病院ないのか~と思っていた。

マクマーフィは分け隔てなく自由で善寄りに描かれているけれど、勝手で傲慢さもあり苦手だ。その面が出たのが最後の事件で、あれは婦長と彼、両者の責任。罪悪感が婦長に向かうのがまた、人間の弱さであり、つらかったな。

面白く見れたのは、患者達まで繊細に描かれていたから。マクマーフィに感化されるのが、やはり魅力的で楽しい。バスケの場面が好きだ。で、やはりJ・ニコルソンの引きのある表情や動きが魅力的で憎めない感じがあるんだよな。

看護師補助?が黒人ばかり(後半に白人の補助も出てきていたが)なのは、やはり社会から隔離されるような者達の世話をする仕事は黒人に回る事が多かったのだろうか、と思った。加えて患者には黒人はいなかったのも、入院することさえ少なかったのかとも思う。
当時の社会情勢を反映、際立たせた部分なんでしょうね。

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