ある規範が、publicな空間のなかでベースラインとして設定されたとき、そこに一様性が生まれてニュアンスが塗りつぶされる傾向がある。とはいえ、「ニュアンスを維持しなければ」という言説が、加害の一種の「隠れ蓑」ともなるので、それは必要なことでもある。しかしどこかでニュアンスは守られるべきである。とはいえそれはクローズドな場所でのみ存在しているだけなのではなく、そうしたベースラインの規範性とのあいだで繊細な折衝をしつつ、publicな空間の土俵の上にも出したほうがよいのであり……とかいう何重もの「とはいえ」とか「しかし」がある。