「すずめの戸締まり」観てきた/ネタバレかも?
地元の映画館で終了間近なので駆け込みで。
物語の基本は「行って還る」と考えてるので、その点では基本に沿った構成で、キチンと出来てる。
もちろん行って還る過程で何を失い何を手にしたのか、その結果始めとはどう変わったのかに注目するのだが、この映画は「既に失った」状態で始まる。「行き」は唐突に始まるのも定番。自ら開けてしまった扉を閉じに行くのだが、そうしなければ「未来がない」から閉じに行くしかない、ということだ(でなければ自分が要石になるから)。
ではすずめが失っていたものは何か。
読み取れるのは「あるはずだった家族」。朧げに記憶する母らしき人の姿がその象徴だか、すずめはいわゆる普通の家族の暮らしは知らない。彼女の家族生活の印象はひどく薄い。
現代日本は最早「取り戻すべき家族像」すら覚束ないが、それは既に本邦の現実である。ここで代替案を出さないのは良い点か。朧げな母の記憶すら未来の自分だったのだから。
そしてすずめは大切な人を取り戻して還る。
取り戻したのは「白紙の未来」だったのかもしれない。