この国では、人の命は恐ろしく軽い。
韓国では、最近小学校の先生が学校で自殺したのをきっかけに、大規模なデモが行われた。
向こうでも公立学校の教員のストは違法のようで、みんな職を賭して参加したらしい。
20年前、私が大学を出て小学校で働き出した頃、どの地域でも、若い先生が異常な長時間労働を強いられた。韓国のケースのように、職場で命を絶つ人が出た。
私自身も過労が祟り、体を壊して退職した。
でも、誰もあの状況を変えようとしなかった。
結果、教員の数はどんどん足りなくなっている。
今、国は教壇に立つ教師の免許についての制限を弛めることまで検討している。
そもそも利権のために、教員免許に更新期限を一度設けておきながら。
学校の先生は、子どもの起きている時間の半分以上を見守る立場で。
教科の指導だけをしているわけではない。子どもの安全を半日見守る仕事なのに、
だれでも構わないと、国は思っている。
育児は、人のケアは、女の仕事なので、半人前の女でも出来るのだから、
適切な免許のない人でも問題なかろう位に思っている。
それだけ、この国の人の命は軽いのだ。
明治時代に作られた、国のための効率の良い兵隊を養成するための仕組みを、根本的には変えずに来ているので、そりゃそうなるのかな、とも思っている。