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身を焦がすような嫉妬をしたことがないと思う。あったのかもしれないけど思い出せない。最近、昔に購入した、そしてその後手放した希少な本、それも一から十まですべてその人だけで作っているという本、の作家さんを動画で知る。驚くほど若い。信じられないほど若い。あたしの昔の購入体験は偶然に小さなお店で見つけた本があまりに素晴らしく、それで繋がりの本を探しまくって数冊手に入れたこと。それら数冊の本はあまりにも堂に入っていて、恐るべき手練がとてつもない経験の果てに作ったに違いないと思い込んでいた。しかし事実は、情熱だけを武器にすべてをかけてたったひとりの若者がそのジャンルでは世界中に右に出る者がいない境地に立って、今もなお大好きな本を作り、コミュニティを作り、そこで新たな価値を生み、激しく揺さぶりをかけているという事実だった。
嫉妬しかない。
光り輝く存在だ。
眩しすぎる。
それに比べてどうだ。あたしは何をしていた。何をどう取り繕っても手遅れだ。追い抜けない。並べない。同じ空間に立つことさえ、羞恥心が邪魔をするに違いない。
あ〜、本当に素晴らしい人だ。こんな人がいるんだね。世界もちょっとはいい場所に思える。もっとどーにもならないダメ人間が作ってるってので良かったんだけどな。でも違うんだ。ほんとすごい。涙出るぐらい。

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