(続き)→ 歌に詠まれるのは、慰霊の日や日本復帰の日を迎えての胸の内や、多くの住民が死んだ摩文仁の浜の光景、そしてかつて経験した沖縄戦での空襲や壕内の生々しい様子。
花や鳥など島の美しい自然が沖縄戦の凄惨な死の記憶へと繋がり、込められた鎮魂や反戦の想いが、読む者に深く静かに刺さります。
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第2〜5章では、現代の世相や作者自身の日常などがテーマ。
社会や家族との関わり、老いや心の揺らぎなど、作者の眼差しは時にクールでありながら、その奥に慈愛を感じます。
ぜひ多くの方に手に取っていただきたい、素晴らしい歌集です。