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数ある沖縄戦の体験記の中でも、これほど鬼気迫るものを他に知りません。
「血であがなったもの」、著者は沖縄戦の研究者であり、後に県知事にもなる大田昌秀氏。
鉄血勤皇隊として19歳で従軍した氏が、沖縄戦で体験した”ありったけの地獄”がここに綴られています。
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読者の眼前に突きつけられる、戦場の凄まじい光景、音・匂い・皮膚の感覚。
兵士や住民らの生々しい会話、吐露される激情。
日本軍人と地元住民、両方の立場ゆえの葛藤。
恐怖と飢餓に追い詰められての異常な行動。
私達が”戦争”と聞いて想像する貧弱なイメージを、遥かに超える出来事の連続。
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1945年3月22日の師範学校でのクラス会に始まり、9月23日(!)に壕を出て米軍に投降、トラックで捕虜収容所へ向かうまで。
軍国少年だった氏が、戦争の悲惨さに直面し、軍の思考・行動に疑問を抱き、絶望の淵から再び生きる意思を取り戻す様を描いた本書。
鎮魂と反戦の強い意志が込められています。
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