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『<悪の凡庸さ>を問い直す』
編/田野大輔、小野寺拓也

「凡人でも環境さえあれば大いなる悪を成しうる」程度の意味で広まってしまったアーレントの「悪の凡庸さ」という語について、アーレントはどのような意味で使ったのか、凡庸という語は適切なのか、この語の意義はまだあるのか、ドイツ史や思想史の研究者が語り合った本。

『関心領域』を見て気になっていた本だったので読めてよかった。すごく面白かった。「悪の凡庸さ」の意義やアイヒマンの実像は研究者の間で今なお議論され続けている。本来複雑で多層的な事柄は、分かりやすいキャッチーな言葉で理解してはいけない。いやいけないことはないが本質ではない。

興味深かったのが「アイヒマンは誰かと話す際は決まり文句を愛用していた」……というか、死の間際ですらそういう風にしか話せなかったという点。私は以前から、いわゆるネトウヨ的な言動ってすごくテンプレだと思っていて、皆おなじ言葉を使ってるな~と思っていたのだけれど、ちょっと似ている。一見つっかえたり言いよどんだりしないから、凄く明快にスラスラ喋っているように見えるけど、実は自分のことばを持ってない人って、最近特に増えたよなぁ、と思う。

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