『誓願』

著/マーガレット・アトウッド
訳/鴻巣友季子

『侍女の物語』の続編、独裁国家・ギレアデ共和国滅亡の物語。前作は最初から最後までずっと息が詰まりそうな閉塞感を感じて、読むのが本当につらく、全然読み進められなかったのだけれど、続編の本作は爽快な冒険活劇、失われた過去を憐れみ懐かしみながら書き記す回顧録、ユーモアの中に復讐心渦巻く策謀の書、といった感じでとても楽しく一気に読んでしまった。虐げられた女性たちの勇気と連帯で国家転覆の野望を成し遂げる様は痛快だったし、希望にあふれていた。

が。

アメリカでは中絶が禁止され、日本でも代理母法制化がささやかれる昨今、私達はもう「ギレアデ」の内部に足を突っ込んでいる。保守的な意見は根強くはびこり、「女」の扱いは昔と変わらないどころか逆行しているところもある。そんななな、この希望の書に描かれていたような勇気と連帯を、今を生きる我々は示すことができるのだろうか。私はとても難しい気がする。

でも、それでも。

訳者あとがきによると、原題の「The Testaments」は「神と人との契約」「裁きの場での誓言」「遺言」という意味があるらしい。願いが無ければ叶わない。ならば私も祈りたい。私の選び取る道が私の娘に少しでも善い未来をもたらすように。

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偽善だし建前なんですけど、自分はなるべく善い道を歩いてたいなって思います。現実を見ろとかおとなになれとか、昔からよく言われた性質なんですけど、すっかりおとなになったいま、そういう声に耳を傾ける必要は無かったなって思います。

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