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『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち 近世の観劇と読書』
著/北村紗衣

シェイクスピア劇が今に残る古典となるまでには、大勢の無名の人々が劇を鑑賞し、脚本を読み、感想を述べ、二次創作(!)し、コスプレしてフェスに参加(!!)した。当然女性も。残された資料から、16~18世紀頃の女性達がどのようにシェイクスピアを楽しんできたのかを検証した本。

想像していたよりも10倍ぐらい「お堅い」専門書だったので読み通せるか不安だったものの、中盤位からノッてきて最後まで読めた。索引と参考資料で本の1/4程を占めていたのが凄かった。

シェイクスピアをどう解釈するかで自らの言論の正当性を主張しようとした女性達の試みが興味深かった。例えば、シェイクスピアの学歴は高くなく、作品も英語で執筆されていることから、英語でも戯曲は書けるのだからラテン語の教養はなくてもいいのだという主張は、女性は教育をうけられなかったためラテン語の教養がなかったことに由来する、とか。今も昔も女性の発言や作品の受容の仕方は「正当ではない」と言われるものなんだなあと思った。

どんなやり方であれ、作品を愛するファンがいた。いまもいる。その中には私も含まれている。16世紀の女性達に、なんだか少し勇気を貰った気がする。

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