史実の鄭和さんの地理感覚を把握するための読書ルート、『雲南ムスリム・ディアスポラの民族誌』(最初に読むには難しいので一時中断中)→やまもとくみこ『中国人ムスリムの末裔たち:雲南からミャンマーへ』→高野秀行『アヘン王国潜入記』と来て、これがとても面白かったので同じ著者の『西南シルクロードは密林に消える』を読み始め、一気に読了。講談社のカメラマン氏と別れたあたりから加速度的に面白くなっていった。
張騫が西域で見た四川の布の交易ルートを辿ると称して、中国からミャンマーの反政府少数民族ゲリラの支配域に密入国し、そのままカチン人ゲリラ→ナガ人ゲリラの伝を辿ってインドにも密入国し、最後はカルカッタから何故か無事に強制送還されて帰国するジャングルの旅の記録だが、「自分が旅をした」というより「自分は交易品として人から人へと渡されていったのだ」という実感がとても良かった。貝とは知らずにタカラガイを薬として持っているゲリラのエピソードなども。
ということで、引き続き、上田信『東ユーラシアの生態環境史』の再読(私的この地域の原点)、ワ州の話があることに気がついた安田峰俊『独裁者の教養』(どうかなと横目に見ながら10年ぐらい積んでいる)、東方見聞録の雲南行以降などを読んでいく予定。