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※原文これ
「これこそ筑紫の誇る美味と、携へて来てくれたのが、文旦と牡蠣と柚子胡椒。(略)
 まづ牡蠣はその日の晩餐を賑はせてくれた。伊勢の的矢牡蠣に匹敵する味はいであつた。もつとも私は火を通してしか食べないので、絶対生でと念を押した彼には相済まぬ思ひがした。文旦は本棚に置いて、しばらくその姿を楽しんだ。さて問題の柚子胡椒、あの外側は柚子といふより「かぼす」の類ではなかったろうか。中身はぐちやぐちやの、得体の知れない半個体が詰まつていた。(略)ともかく、私と妻は、その勇を鼓して、一掬ひを舌に載せてみた。その瞬間、私はげつとなつてそれを吐き出し、洗面所へ口漱に走つた。」塚本邦雄『先駆的詩歌論』花曜社

※多少主観である部分の株が下がるだけで嫌いというわけではない

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