『お嬢さん』では手袋がメタファーになっているという(秀子は本心を隠しているときに手袋をつけているらしい)
また『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でも手袋は重要な意味を持つ。月並みな言い方をすると、「人の温もり」を表現している。先住民から受け取った手袋に触れたローズは涙を流す。有害な男らしさから手袋の着用を頑なに拒んだフィルは……。
手袋は「手」という人と人を繋ぐもの、感情を表現したり他者をケアする部位を守り包み込む役割を持つためか、映画では人の感情の機微を表すことが多いように思う。
その文脈で見ると『キャロル』における手袋も、キャロルの本心や心の一部を表しているとも読み取れる。二人の出会いはテレーズがそれに触れたことから始まる。